第1章 第一章
蛍丸のことを思うと、心臓が激しく動き、いてもたってもいられなくなる。間違いなくこれは恋の病だ。しかし
「違うよ。ただ単に鶴丸が年寄りなだけだ。俺のじいさんだって五時には起きてたんだしな。とにかく自室に戻れ」
年のせいだと言い切られ、主の部屋から追い出される。襖が閉じると同時に二度と起こすなよ!と主が釘を刺す。
「さて どうしようか。…そうだ一期に相手になってもらうか」
厨組の一員でもある彼ならばもう起きているだろう。足音を立てないようにこっそりと一期の部屋へと向かう。
主の部屋から少し離れた一期の部屋へはすぐに着いた。しかし普段なら明かりが付いている部屋は真っ暗である。
「ほほぅ、昨日の宴会で疲れたのだな。よしよし、その可愛い顔を覗かせてもらおうか」
音を立てずに襖を開ける。簡素な部屋の真ん中に布団が一つだけ置かれ、一期が寝ている部分が膨らんでいる。