第7章 特別指南 1
剣術の試合を始めて暫くすると、段々優姫の神経が研ぎ澄まされていくのがわかった。
集中してのめり込んでいくにつれて霊力が跳ね上がっていく。
彼女に合わせて自分の霊力も高めながら、打ち込んでくる刀を受ける。
「ふふっ」
優姫が妖艶に笑う。
戦いを楽しんでいる……
高揚して濡れた瞳が美しい。
惹きこまれる。
「ふふふふふ……」
二人の動きと呼吸が重なる。
舞い踊る様に合わせる木刀。
最後に彼女の渾身の力を込めたであろう刀も弾き返す。
「ありがとうございました……」
優姫は力尽きたように膝から崩れ落ちた。
「藍染隊長のおかげです。こんなに打ち込んで試合をできたのは初めてです。」
嬉しそうに見上げる彼女。
頬は上気し赤くなり、潤んだ瞳に額やうなじに光る汗。
まるで情事の後のようだ。
「そう、僕も指導のしがいのある試合だったよ。」
ゴクリと喉が鳴る。
組み敷いて自分の腕のなかで翻弄したい。
腰が砕けたようになった彼女を抱き上げる。
「きゃっ……あの、下ろしてくださ……」
「自分で歩けるならそうしてあげよう。」
抱き上げた彼女は俯いて真っ赤になった。
「すみませんっ。歩けません……」
小さな声でぽそぽそと呟いている。
そんな優姫の愛らしい姿に口許が綻ぶ。
優姫を腕に抱いたまま、藍染はある場所へ向かった。