第7章 特別指南 1
試合を始めると、藍染隊長の雰囲気がまた変わる……
凄い、どんなに打ち込んでも息一つ乱さない。
目の前の強い敵……ゾワゾワと込み上げる高揚感。
自分の霊力が上がってくるのが解る。
身体が軽くなり、呼吸が楽になる。
私の霊力が上がるのに合わせて藍染隊長の霊圧も上がっていく。
初めて見る。
ゾッとするほど冷たい瞳……
「ふふっ……」
知らず溢れた笑い声は私のもの?
そう、楽しんでいる。
霊力が満ちている身体がこんなにも軽く素晴らしいなんて。
カンッ!カンッ!
ぶつかり合う木刀の音は激しさを増す。
「ふふふふふ……」
笑う私を見つめる藍染隊長の瞳も妖しく高揚していくのが解る。
右に、左に、振りかざす刀と受ける刀……
まるで二人で舞っている様に重なる呼吸……
「やぁぁぁーー!!」
「ふっ!!」
最後に思いきり叩きつけた刀はアッサリと弾かれ、手から離れたそれは後ろの床でカランッと渇いた音を響かせた。
「ありがとうございました……」
一礼するとガクンっと膝から崩れ落ちた。
研ぎ澄ませていた神経の糸が切れたのだ。
「素晴らしかったよ。」
額にうっすら汗をかいただけの藍染隊長と違い、私は一気に汗が吹き出す。
全力以上の力を出した結果だ。
普段はあんな霊力を出しきることは出来ない。
導き出したのは藍染隊長の手腕だ。
卯ノ花隊長がこの方に剣術指南まで頼んだのはこういうこと……
「藍染隊長のおかげです。こんなに打ち込んで試合をできたのは初めてです。」
「そう、僕も指導のしがいのある試合だったよ。」