第7章 特別指南 1
「他の男の事を考えてた?」
「あ……」
「いけない子だ……それとも、わざと煽っている?」
藍染隊長の目が好戦的になる。
「優姫……」
瑞原君でも、君でもなく優姫と名前を深い男の声で呼ばれた。
ゾクリとする。
目の前のこの人は隊長の仮面をかなぐり捨てた一人の男だ。
再び近づく唇が触れる直前に、微かな声で好きだと聞こえた。
藍染隊長が、私を?
でもすぐに何も考えられなくなる。
激しい口づけが思考を奪っていく。
「んっんっ……はっあっ……」
酸素を求めて開けた口腔に容赦なく舌が侵入する。
ぐちゅぐちゅとかき回される……
舌を吸われ絡め取られる。
何度も角度を変えて合わせられる唇。
時折くすぐるように唇に柔らかく歯を立てる。
「あっ……んぅっ……あいぜ……たい…ちょ……」
自分の声じゃないみたいに甘い。
すがり付いた手を広い背中にまわした。
応えるように抱き締められた。
「このまま、押し倒してめちゃめちゃにしてしまいたいけど、今日は此処まで。」
「あっ……」
離れる唇が寂しいと思うなんて……
自分から追いかけそうになるのを必死で止める為に俯いて広い胸に頬を寄せた。
頭の上でふっと笑う気配。
「これで父親なんて思えないだろう?」
からかう様な声に悔しくなる。
やっぱり手の中で転がされてる。
自分はいっぱいいっぱいなのに、大人の男性の余裕な態度が悔しい。