第7章 特別指南 1
「いや、光栄だよと言いたいところだが、」
複雑な表情の藍染隊長は私の顔を覗き込み目線を合わせる。
「僕としては君に父親ではなく男として見られたいね。」
スッと真剣になった目に艶っぽい色香が……
ドキンと胸が高鳴る。
まったく予想していなかった言葉に真っ赤になる。
「この一週間で君が僕を男として意識してくれるとありがたいね。」
ゆっくりと頭にのせた手が頬へ降りてくる。
温かい手に赤くなった頬を包まれる。
一週間と言わず今この瞬間に既にドキドキした胸は張り裂けそう。
大人の男性の色香たっぷりに見つめられたら、私みたいな小娘はあっさりと手の中で転がされている。
頬に当てた手の親指が唇に触れる。
ゆっくりとその形を辿る。
クルリと一周した指がそっと唇を押し開ける。
見つめ合った目をそらせない。
興奮で目が潤んでくるのが解る。
どちらも言葉を忘れたように黙ったまま、痛いくらいの静寂。
藍染隊長の顔がゆっくり近づく。
吐息が触れた。
次の瞬間には親指に押し開かれた唇に柔らかな感触。
「んっ……」
ゆっくり目を閉じる。
ドキドキして、恥ずかしい。
でもこうされて嫌じゃない……
徐々に深くなる唇が気持ちいい……
最近何人かの男性とこうして唇を合わせてる。
どの唇も嫌じゃないなんて、知らなかった、私ってこんなにいやらしい女だったの……
思わず漏れる自嘲の笑み。
「何を考えてる?」
離された唇が問う。