第7章 特別指南 1
汚い物でも、怖い物でもない……
私は影柘榴と向き合うと約束した。
力が欲しいと思うことだけだ思っていた。
いままで押さえつけた感情と向き合わなきゃいけなかったんだ。
翠光も影柘榴もどんな私でもいいと、受け入れて力を捧げると言ってくれたのに、私が私を受け入れてなかった。
醜い自分を見たくないと目を反らしてた。
だから影柘榴も今の私には応えてくれないんだ。
そっか、私は私を知らないといけない。
どんな私も私だけはちゃんと受け入れないといけなかった。
影柘榴はそれを教えてくれてた。
それから、目の前のこの方もちゃんと私を見て気づいてくれた。
私が気づくのを促し、導いてくれた。
まっすぐ藍染隊長を見る。
優しい微笑みの中に懐の大きさを感じさせる。
たくさんの隊士が慕うのがよくわかる。
卯ノ花隊長がこの方を選んだのも頷ける。
「ありがとうございました。明日から、少し試してみます。」
「うん、糸口を掴めたなら焦らずに気楽にね。」
伸びた手が優しく頭に触れる。
「ふふっ」
「なんだい?」
「なんだか、父に撫でられてるみたいだなって……」
頭を撫でていた手が止まる。
藍染隊長の顔を見上げると不思議な表情になってる……
「あの、すみませんっ。私の父なんて失礼ですよねっ」
うっかりツルッと口が滑って思っていた事を言ってしまった。