第7章 特別指南 1
「僕の見立てで言うと、封印の呪術だけど、そこまで強力な物ではなさそうだ。君の霊力なら簡単に解けると思うよ。」
簡単に解ける?
私の霊力ならと言われたけれど、霊力は安定しない状態で困っているのに……
「君は斬魄刀の影柘榴を始解したことがあるのだろう?更に過去には虚を消し飛ばすほどの霊力も。最低でもそれだけの霊力はあるはずだ。」
藍染隊長は淡々と語る。
「どちらかと言うと封印よりも君自身が殻に閉じ込めてはいないかい?自己暗示のようなものかな。何か思い当たることはないかい?」
自己暗示……
私は何に囚われて殻に閉じこもっているのかな?
「影柘榴を手にしたときはどんな状況で?」
静かな声に促されてポツリポツリと話す。
「更木隊長の剣術訓練を見て、こんな風に敵を倒す力が欲しいと強く思いました。それまでは誰かを守れる力を望んでいたのに。自分の本心は違ったのかも、と思いました。」
「望みと、本心ね……それで、その時君はどう思った?」
「ショックでした。」
そう、ショックだった。
でも翠光と影柘榴にそれでいいんだって言われて……
「君は、君自身の感情を受け入れられないからショックだったんじゃないかい?」
「自分自身の感情?」
「それが君の自己暗示じゃないな?優姫君、君は怒ったり憎んだり、それこそ虚を倒してやりたいと思うことにもためらいがある?」
「有ります……父にそういう感情を持つと封印が解けてしまうと……そういう感情はいけないもののように感じて……」
「そういう感情を持つことは普通のことだ。汚い物でも怖い物でもないよ。まず君は君自身の感情と向き合うことだよ。」