第6章 四番隊のお仕事3
おろおろとする優姫の前で朽木白夜は一口茶を飲んだ。
いつもよりも数段美味しいお茶に僅かに驚き初めて顔をあげた。
「これは兄が淹れた……」
そこまで言って言葉が途切れた。
すっかり自分の隊の隊士がいると思っていたそこにいたのは、まったく知らない女性隊士だった。
「誰だ?」
物凄い無愛想に言われた……
お茶淹れろって言ったのは朽木隊長なのに……
「あの、四番隊の瑞原です。本日は六番隊の隊士の健康確認に伺いました。」
「あぁ、すまない。仕事に没頭していたようだ。お茶、旨かった。仕事に入ってくれ。」
「はい、では順番に診て行きます。後程朽木隊長も診させていただきます。」
僅かに朽木隊長の頬が赤くなった気がしたのは気のせいかな……
お茶を美味しかったって言ってくれた。
回りが噂するほど厳しい方ではないのかも……
六番隊の健康確認は初めて一人で作業する事に苦戦して少し時間がかかってしまった。
それでも隊士に怪我や病気があってはいけない。
卯ノ花隊長に任せて貰えた仕事だもの、直向きに真摯に取り組むこと。
卯ノ花隊長の元で働けると決まったときに自分に誓った。
誰かの役に立てるように、誰かに必要とされるように出来ることを頑張るんだ。
大分遅くなったが一通り作業を終えて最後に朽木隊長の部屋に戻ってきた。
ノックをして扉を開けると窓際に立ったあの美しい人はゆっくりと振り返った。