第5章 四番隊のお仕事2
冷たい水が口に入ってくる。
ごくりと飲み下しそっと目を開ける。
見慣れない天井……
覗き込む強面は……
「阿近さん……」
「目ぇ覚めたか?」
意識を失う前の出来事が一気に甦り、サッと頬が朱に染まる。
慌てて起き上がろうとしたが、身体が動いた瞬間に皮膚を擦る服の感触にゾクリとする。
「え?……あんっ……」
身体に纏わり付く甘い疼き……
「まだ媚薬は切れてねぇよ。さっき飲ませたのは痺れの解毒剤だ。身体は動かせるようになったろ?」
確かに手足は動くし話も出来る。
でも痺れがなくなった分媚薬の効果に敏感になってる気がする。
身体の違和感に泣きたくなる。
「お前が寝てる間に媚薬の解毒剤も調合したから心配するな。」
よほど情けない顔をしたのか憐れむような目で阿近さんが見ている。
でも、今解毒剤って言った?
「下さい。すぐに飲みます。」
「まぁ、そうだよな。んじゃ座って。」
阿近さんの指示通り身体を起こす。
身体が動く度に服が擦れて身体中を撫で回されているかのようだった。
恥ずかしい声を出さないように歯を食いしばって何とか座れた。
「おぉ、偉い偉い。」
阿近さん、からかってる……
ムッとしながらも薬を渡されるのを待っていると、阿近さんが徐ろに薬の瓶を煽り口移ししてきた。
さっきは痺れて感じなかった唇の柔らかな感触と、口の中に流し込まれる甘くてほんのり苦い液体。
「ごほっ、ごほっ!」
ビックリして少し気管に入った。
「な、何するんですか!もう自分で飲めます!」
むせたせいで涙目になって阿近さんを睨む。