第5章 四番隊のお仕事2
「あかんな。」
市丸ギンは誰もいない部屋で一人呟いた。
さっきまで同じ部屋にいた彼女のことを思い出す。
どうしてもほっておけなかった。
数年前に真央霊術院の生徒でありながら斬魄刀の始解をして怪我した生徒を治癒した少女。
そこに居合わせたあの男がやけに興味を持っていた。
彼女の生い立ちや、その後の学校での成績を定期的に調べるほどの執着を見せた。
死神として入隊するときも何とか自分の隊に入れようと画策したようだが、叶わず卯ノ花の元にいる。
そこまであの男が気にするのはどんな女かと思っていた。
あそこまでの執着を見せるくらいだ、あの男の計画の今後に関わるのかも知れない。
初めて会った時に少し意地悪をした。
微かな殺気を込めた視線。
霊力が並み程度の死神なら気づかないほどの
。
隣にいた山田君には感じとることはできんかった。
優姫は見事に察知して震え上がったが、彼女から感じる霊力はそこまで高いとは思えなかった。
注意して観察するとどうも彼女の霊力はあやふやだ。
戦闘になったりしたときに意識してあげたりしない限り常に霊力は安定しているはずが、彼女の霊力は常時変化する。
強くなったり弱くなったり……
だから探っても彼女の霊力のある程度の上限が解らない。
あの男の調査書にあった父親の封印のせいだろう。