第5章 四番隊のお仕事2
市丸隊長に引きずられて部屋へ拉致された。
ドサリと座り込んだ市丸隊長は膝の間に私を座らせて後ろからがっちりホールドしている。
粟立った肌がビリビリする。
指の一本も動かせない。
冷や汗が出て、口の中は渇き切ってカサカサだ。
「くくっ」
後ろから我慢出来ないといった感じで微かな笑い声が漏れた。
「まるで毛を逆立てた子猫やね。そんな警戒せんでも取って喰う様なことはせんよ。」
頭を掴まれて無理矢理後ろを向かされる。
ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、といった感じでぎこちなく振り返ると間近に市丸隊長の顔。
細い目の奥にあった殺気は今はなく、からかうような楽しげな色。
「キミあれやね、何か一見頼りない霊力やけどその奥に何かありそうやね。まぁボクには関係ないけど。」
ニヤリと笑ってグシャグシャと頭を撫でられた。
「何か無理矢理ポーカーフェイス決めてたからちょっと崩してやりたくて、からかったんやけど真っ青になって結構可愛かったわ。」
頭を撫でていた手が後頭部に回ったと気づいた時には既に唇が合わせられていた。
チュッと軽く音をたてて合わせるだけの口づけをして優姫の顔を覗きこんだ市丸隊長の顔は完全にいたずらっ子だった。
「なっ、なっ、なんっ何ですか、今の。」
いや、口づけだけど、何で?
会って一分で殺されそうな勢いだった人にキスされたんだけど?
ていうか、隊長って人は誰も彼も揃いも揃ってキス魔か?
真っ赤になってプルプル震える優姫を見て市丸ギンは遂に堪えていた笑い声をあげて笑っていた。