第3章 覚醒
「ここはどこ?さっきまで私……」
「ここは君の精神世界だよ。」
すぐ後ろから先程の声が響く。
ハッとして振り返るとそこには一人の女性が……いや、男性?
すらりとした立ち姿に肩までの髪、切れ長で涼しい目元、薄い唇。
中性的な美しい人。
淡い翠の瞳が印象的で、見つめられるとドキリとする。
「私を求めて、私の名を呼んでくれ。」
凛とした心地いい声で甘く囁かれる。
「名前……?」
「そう、私のことは優姫、君が一番知っているはずだよ。」
その人はゆっくりと近づき、頬をスルリと撫でた。
優しい指先が触れた瞬間、全てを理解した。
「私の斬魄刀……翠光!」
「正解……私は君の力になる。君は私の全て。君が求めるモノになる。君に私の全てを捧げるよ。」
真っ直ぐに見つめ、誓う翠光の手を取る。
「さぁ、目覚めて。君は私に何を求める?」
再度目の前が真っ白な光に包まれる。
眩しさに目を閉じ、瞬きをした瞬間に景色は元の場所にいた。
状況から見て僅かな時間しかたっていないようだった。