第8章 特別指南 2
それに、優姫はこうして自分に触れられても拒絶することはない。
流されているにしても僅かでも自分を好ましいと思う気持ちがあるはずだ。
「流されたにしても、こうして僕に触れられて嫌じゃないかい?」
「嫌じゃないですっ!嫌じゃないけど、その、特別な好きとか、愛とか、よくわからなくて……」
優姫はしょんぼりと目を伏せる。
「嫌じゃないなら、僕には下心があるからね……たとえ今は身体の繋がりだけでも欲しい。もちろん気持ちもいずれは手に入れるよ。だから、嫌じゃないなら遠慮なく抱くよ。ここにいる間は覚悟しておくといい。」
深く口付けて瞳を覗けば真っ赤になって布団に隠れてしまった。
とにかく今日は優姫の身体を休めてこうして側に置き、二人でゆったりと過ごすことにしよう。
丸く膨らんだ布団をよしよし、と撫でながら藍染は朗らかに笑った。
邪魔が入ったのは朝食を済ませてすぐだった。
「藍染隊長、失礼します。」
「あぁ、雛森君か。どうかしたかい?」
「瑞原さん?どうして、藍染隊長の部屋で……」
部屋に入るなり雛森君は布団に寝かされた優姫を見て眉をひそめる。
「今日は体調が悪くなってしまってね。他の隊から預かっている大切な子だからね、僕が様子を見ているんだよ。」
そう、大切な子だからね……
意味深に言って優姫を見ると申し訳無さそうに雛森君を見上げているが、僕の言葉に頬を染めている。