第8章 特別指南 2
「好きだ……」
ゆっくりと唇を離し囁かれる。
いつもよりも低い声にゾクゾクと快感が背筋を這う。
「雛森君といるところを見ていたあとからだね、君の態度が変わったのは……」
気づかれてた……!!
自分の狡さも見透かされたようで、一気に羞恥心が心を支配する。
顔は真っ赤になり、心臓はドキドキ煩いし、目はオロオロと泳ぎ出す。
あまりの豹変ぶりに藍染隊長が吹き出す。
「ふふっ。どうしたの?そんなに慌てて……何を考えてる?」
瞳を覗き込んで妖艶な笑顔で、言ってごらん……と唇を舌でなぞる。
「はっぁ……お二人が……お似合いで……」
快感と羞恥で涙がポロポロ零れてくる。
「藍染、隊長が……遠くてっ……自分の気持ちも、解らないのにっ……流されて……私、狡いんですっ……」
唇を啄む様に口づけられながら告白する。
こんな狡い自分を見てほしくなかった。
藍染隊長はボロボロと泣く私に再度深い口づけをすると抱き上げて歩き出す。
ポスンっと下ろされたのは藍染隊長の布団の上だった。
「狡くて構わない。このまま流されて、僕のモノになればいい。」
「藍染隊長?」
もう話すな、と言いたげに少し乱暴な仕草で押し倒し、唇を塞ぐ。
「んっ……あっ……」
捩じ込まれた舌は歯列をなぞり、上顎を舐め擦る。
優しく髪を梳く指が耳朶をくすぐる。
首を竦めれば微かに笑った藍染隊長の唇が耳に移動する。
「んっやっ……くすぐった……」
「ふふっくすぐったくて、気持ちいい?」
耳朶に舌を這わせて息をかけながら、甘い囁き声で聞く。
この方は男の時はこんなに甘い声で女を抱くのか……