第8章 特別指南 2
ゆっくりと目を開ける。
「上手く出来たみたいだね。」
藍染隊長が優しく微笑み見守ってくれていた。
「はい。久しぶりに影柘榴に会えました。」
「そう、良かったね。」
優しく頭を撫でられて、泣きそうになった。
私の他に本当に必要とする人がいるなら、この手に甘えちゃいけない。
でも、振り払えるほど強くない私を許してくれるだろうか?
この優しい方は許してくれるだろうか?
やっぱり顔を上手く見れないまま俯いていた。
一日の終わり、いつもの様に襖を開けて藍染隊長に挨拶をする。
「藍染隊長……」
珍しく入浴も済ませたらしく濡れ髪も艶やかな藍染隊長が寛いでいた。
私の顔を見ると立ち上がり近づいてくる。
「あの、今日もご指導ありがとうございました。お休みなさい……」
雛森副隊長への罪悪感と、自分の狡さの嫌悪感でやっぱり藍染隊長の顔を見れないまま部屋を辞そうとした。
「っ!……」
強い力で腕を引かれた。
気付けばいつもの白檀の香りに包まれていた。
きつく掻き抱く腕に息も止まりそうになる。
「逃がさない。」
いつもより低く艶やかな声が囁く。
「藍染、隊長?」
見上げると眉根を寄せて切なげな表情の藍染隊長と目が合う。
妖しく輝いている瞳にドキリとする。
「やっと僕を見たね。今日はどうしたんだい?」
「何でもないんです。」
俯こうとした顎を取られ、強引に唇を重ねられた。
「んぅっ……」
こじ開けるように唇を割り込ませ、舌を捩じ込んでくる。
「はぁっ……んっ」
舌が絡まり強引に快感を引き出されて、目尻に涙が溢れていく。