第8章 特別指南 2
昼過ぎに藍染隊長の手が空いたと、書庫に顔を出してくれた。
「凄いな、もうこんなに整理が終わったのかい?」
「はい、こに避けてある書物は分かりにくかったので、後で目を通していただけますか?」
「ああ、わかった。ありがとう。思ったより早く片付きそうだね。」
朗かな藍染隊長の笑顔を上手く見れない。
雛森副隊長の気持ちを知ってしまった。
雛森副隊長にあんな目をさせてはいけない。
俯く私の顎を藍染隊長が捉える。
「どうしたんだい?元気がないね。」
「いえ、そんなことは……」
「道場を開けてあるから、行こうか。斬魄刀との対話の練習をしよう。」
聞き出すことを諦めた藍染隊長は私の手を引いて道場へ向かった。
道場の中の静寂に包まれているとささくれだった気持ちが凪いでいく。
座禅をするように胡座をかいて座る。
斬魄刀を膝に載せて目を閉じる。
本来なら斬魄刀に意識を集中するが、私は自分の気持ち、感情に向き合うように藍染隊長から言われた。
影柘榴を使いこなせる様になるために。
自分の感情……
どうしてさっきまであんなに気持ちが乱れていたのか?
雛森副隊長の気持ちを知ってしまったから?
それは関係ない……
雛森副隊長にあんな目で見られたから?
嫉妬されてるのだろうか?
それはそうか……一週間と言えどこうして藍染隊長と二人きりになる時間を貰っている。
寝室も藍染隊長の部屋を使っているのだから、心中穏やかではいられないと思う。
でも、それは雛森副隊長の気持ち……