【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
俺は裏山の中腹にある、湖へと向かっていた。
『カミノコ』と呼ばれるその湖は、澄んだ水が青色に輝く不思議な湖として、訓練兵の間ではちょっとした名所となっていた。
狼が出るとの噂からか、あまり近付く者はいなかったが、俺は時々湖を訪れては、水面に映る夜空を見つめながら過ごしていたのだ。
ふと、虫の鳴き声に紛れ、人の声が聞こえたような気がし、俺は足を止めた。
かすかに聞こえる女性の声。
その声は、湖の方から聞こえたような気がした。
こんな時間に誰だろうと、俺はランプの明かりを頼りに山道を急ぐ。
兵舎の裏山なのだから、この声の正体も兵士に違いないと、俺は思っていた。
道が開け、辺りが急に明るくなった。
先ほどまで生い茂る樹木の影になっていた月が姿を現し、俺の頭上高くから煌々とした明かりを放っている。
その月明かりは湖へと落ち、深い青色の水面を輝かせていた。
俺は先ほどの声の主を探し、辺りを見渡す。
すると、湖のほとりにたたずむ、ひとりの女性の姿が見えた。