【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
お互い、マリーへの恋心を打ち明けた事は一度もなかった。
しかし、俺がマリーに惚れている事は、きっとナイルも気付いていたのだろう。
お互い気付いていたからこそ、俺達はあえて口に出す事がなかったのだ。
俺達は兵士だ。
訓練兵団を卒業し、調査兵団に入り、いずれは壁外で巨人と戦う事になる。
兵士の恋など、最初から望みが無い事は明らかだ。
叶わぬ恋を胸に、剣を振るう日々。
俺にとってナイルは、兵士としてだけではなく、恋愛においても、どこか“同志”のような存在になっていた。
しかし、その“同志”は、女のために憲兵団として生きる道を選んだ。
その選択に、俺は大きな衝撃と嫉妬を覚えた。
俺はきっと心のどこかで、兵士である事を理由に、マリーへの想いを断ち切ろうとしていたのだろう。
そしてそれは、同志であるナイルも同じだと、思い込んでいたのだろう。
俺は…自分が思っていたよりも、卑怯な臆病者だったのかもしれないと、薄暗い山道を歩きながら、そんな事を考えていた。