第32章 ピタゴラTrip!
「ん。大丈夫。ね、木原さん見なかった?」
本題をきりだすと彼らは申し合わせたような顔を見合わせる。
「知らん」
「知ってたら見せびらかしてる」
「違いない」
はは、はは、と笑い合う二人。
私も一緒に笑ってみた。はは。
「石和さん、笑ってる場合?授業始まるよ?」
松川くん痛い事云わないでほしいなー。
私だって困ってるんだし。
「や、でもギリギリセーフまで探してみるよ。見かけたら…………」
私は携帯とか持ってないし。
「石和さんの教室行くように云っとくよ」
花巻くん様ありがとう。
「石和って阿修羅像みたい」
顔色が変わりやすいって意味かな?
阿修羅って、又しぶい例え…。
「ありがとう。じゃ、又」
二人が教科書に顔をむけたのを確認してそれをバチンとはたき落としながら教室を逃げ出した。
二人が何だかわめいているのが聞こえて足が軽やかにスキップする一一あゝげに楽しき我が人生謳歌なり!
が、
キンコンカンコン〜
キンコンカンコン〜
無情にもタイムリミットだ。
さて、ふけよう!