第26章 映画
ヴォルフ『といっても…
近界民の二人は気付いたようで、持って帰ろうとしたが』
陽介「ってちょっと待てよ!
労咳っていやあ、沖田総司とかが血を吐いて死ぬあれか!?」
風間「そうだ。
かなり進行しているとみて間違いない。
だが、なぜ入院している時に気付かなかった?」
ヴォルフ『今まで、空間ごと
存在自体を無効化させることで影響を押さえ込んでいたからだ。
だからレントゲンにも映らなかった。
就寝後でなければ症状が出ないようにな…
だが2年前、風邪をこじらせた時に感染していて
その発症を押さえ込み続けていられる期間が2年だった。
始祖神の力がある限り、傷はすべて自動的に回復される。
小さな傷ならな。
一体化してからは、すぐに脳震盪は治せた。
しかし、凄まじい責め苦の後で分離した。
それによって、傷の治りは遅くなる。
その上…トリオンが足りない。
普通の人間はどれだけトリオンが少なくなろうが
抵抗力が不足することはないが、恵土の場合は違う。
トリオン自体を回復にまわし
治癒力を高め、早く治すことも可能となる。
あの大怪我の時にできなかったのは
回復にまわすだけのトリオンが足らず
不足状態が続いたことにより、抵抗力が減少。
もともとが無駄なまでに多かったことから
それよりも遥かに弱まってしまった』
風間「なるほど。
それが発症に至った経緯か。
肺結核による喀血」
恵土「大丈夫(微笑」
風間「!」
苦しそうに息をしながら呟かれる…
恵土「空間ごと、空気感染しないようにちゃんと回しるし。
第一そんなんじゃないから」
風間「嘘はつかないで下さい」
恵土「…吐血じゃない?^^;」
風間「いいえ。
見た所、泡を伴っており色も鮮やか。
吐血なら色も濁り、泡も伴いません。
間違いなく喀血です」
恵土「うっ…;
でも呼吸できてるよ?;」
風間「それほど症状が出ないように無効化させていた。
そして今も、呼吸ができるようにまでは出来ている。
しかし、今尽きかけていると考えれば合点がいきます」
言い逃れなど、できそうにもなかった…;