第13章 模擬戦
三輪(近界にとっては、こちらは近界民…
そんなことぐらい解ってる…
それでも…俺は……)
恵土(私は…
もう二度と、あんな思いを味あわせたくもないし味わいたくもない…
両方が幸せであってほしい…
そのためなら、自分はどうなってもいい…
それだけなのに……)
三輪&恵土((何で、届かないんだ…))
各々の交錯する想い…
それでもわかってはいても、同意できなかった……
互いの、一番という観点が違っていたからか…
考え方が違っていたからか…
頭ではわかっていても…
同意し切れずに、空回りを繰り返すばかりだった…
恵土「それでも、愛してるんだ…秀次を」
三輪「!…
俺も、愛している。
だが、それとこれとは別だ。
俺の行きたいと決めた道は、こっちの方だ」
恵土「…そっか…
ごめん。無理やり押し付ける所だった。
価値観も違えば考え方も違う、優先しようとする部分だって変わってくる…
それなのに、これが正しいって押し付けたら苦しいだけだ。
解ってるのに…
それでも、苦しむ人が出るっていうのなら止めれなかった…
抑えることができなかった…
目の前の人が苦しむことになるって解ってても…
その人が…
その大切な人が苦しませるって解ってて、何もしないままではいられなかった…
ごめん…
結局私は…何も護れていない……
父を殺され、母を殺され、親戚も祖父母も
村に住んでいた人全員が殺された…
一時の間に奪われた…
近界で暮らすことになっても
見ず知らずの私を、変わらずに接してくれた人もいれば
あっちから見て近界民である私を殺そうとして
できなければ、受け入れてくれた人たちも居場所も奪われて…
もう、何が何だか…
味方が誰もいなくて…
寄り添ってくれる人も、誰もいなくて…
あんな思いを味あわせるぐらいならって…
そんなもんは自分の考えなんだから
自分一人だけでやればいいのにって話なのにな…
自分の生き方に巻き込んでどうするんだよ…
私のバカヤロウ…(ズーン」
三輪「…おい」
恵土「…本当に
秀次の言う通り、私は腐れ外道だ。
何も出来もしないで伝えることしか出来ない。
考えれば考える度、いつまでも止まらない…
邪魔になるだけなのに…」