第16章 審神者の帰還
「ちょっと待って、ちょっと待って!!!」
僕は、慌てて天使さんを止める。
止められた本人は「チッ」って舌打ちしてるし。
天使の癖に、ガラが悪いぞ!?
「無闇に殺そうとしない! 何もしてないから!」
「いやぁ、たまたまその淫魔が居る所になっただけで、私は石ころを攻撃しようとしたんですわ」
「そうです。石ころ相手ですよ」
「単体魔法も出来る癖に!」
「チッ、バレたか」
この天使さんたち、凄く態度悪いぞ。
これでも天使なの?
ベルちゃん(仮名)は、あんなに優しかったのに。
「もうね、君たちが居ると鶴丸くんが危ないから、帰ってくれないかな?」
「いえいえ、私達ただの散歩ですのでー、たまたま一緒にコースなんですー」
「白々しい奴だな」
倶利伽羅が溜息をつく。
わかる、わかるぞ、その気持ち。
「レベル上げに集中できないんで……」
「うふふっ、貴方は何も気にしなくていいのよ?」
私の時だけ、態度が変わる。
な、なんていうか、わかりやすくて困るぞ。
「ったく、あんまりうるさいと、ミカエルさん呼んでくるよ?」
その瞬間、天使さんたちは全員固まった。
まぁ、どう見てもミカエルさんはこの天使さんたちの上司だろう。
あのミカエルさん、真面目そのものだったからな、起こると厄介そうだ。
「ア、アハハハ。ち、違うコースを散歩してきますわ……」
「そうですねー」
苦笑しながら、天使さんは帰っていった。
その後を、怯える目でゾンビが見送ってて、鶴丸から氷漬けにされ、ゾンビは短い人生を終えた。