第16章 審神者の帰還
「天界に危機が迫った時には、天使だけに聞こるラッパを吹くわ。その時には、必ず助けに来てね?」
「はい、わかりました」
ってことは、種族間の戦争もあるのか。
よく考えたものだ。
「それでは、お友達が終わるまでゆっくりなさい?」
「あ、はい」
ふわり、とベルちゃん(仮名)は微笑むとまたハープを弾き始める。
余程、ハープが好きなんだなぁ。
音色も綺麗だし、暫く聞いていこう。
と思った矢先だった。
「セレナー」
「あ、鶴丸?」
「ちょ、ちょいと俺にはコツが掴め無さそうだ。暫く頭冷やしてくるから、下界で待っててくれ」
「――? 別にいいけど」
なんか、怪しいなぁ。
鶴丸、作り直しする気?
「あら……、難しすぎたのかしら? 焦らなくてもいいのに」
「まー、そのうち戻ってくるでしょ。先に、下界に行くことにします」
あーあ、よくわかんないけど、とりあえず先に進もう。
みっちゃんたちがどの種族になってるかも気になるし。
ってなわけで、僕は案内されて下界へ行く水鏡の中をくぐり抜けた。
くぐった先は、空の中。
その中に、ぽつんと白い扉があるんだ。
ここを潜れば里帰りできるってわけね。
確認し終えると、僕は急降下しながら一気に下る。
目指すは、この前中継地点だったお城の噴水前。
そこが、皆と約束した場所だ。