第16章 審神者の帰還
「おぉ、セレナ」
「あ、鶴丸」
鶴丸も天使だ。
お揃いのギリシャ神話っぽい衣装を着てる。
「最初に何するんだろうねぇ」
「あー、何処に行くかもわからないしな」
とりあえず、道なりに進むと、綺麗なハープの音色が聞こえてくるんだ。
音を確かめて歩くと、そこには金髪碧眼の絶世の美女が。
僕らの方を見てふわり、と微笑む彼女は天使というより女神。
あぁっ女神様のベルちゃんにちょっと似てるかも。
髪型もそっくりだし、ベルちゃんを金髪碧眼にしただけだな、こりゃ。
「――あら、ようこそいらっしゃいました。新人の天使さんね?」
「あ、はい。そうなんです」
「驚いたな、それはなんて楽器だ?」
「ハープよ。天使でも、知ってる人は少ないかしら?」
にこり、とその笑顔。
絶対、漫画だと背景に花を背負ってるだろう。
そんな綺麗な笑顔だ。
「さぁ、下界に行くために試験をするわよ」
ベルちゃん(仮名)は立ち上がると、スタスタと歩き出す。
って、飛ばないんだ。
彼女の後を追って辿り着いたのは絶壁の崖。
その下には、広い湖が広がってる。
服は真っ白。
一応ブラはつけてる感触がある。
でも、また水濡れ地獄なんて真っ平御免だ。
「初めての人には、ちょっと怖いかしら?」
「ここで、どうしろって?」
「飛ぶのよ。私達は天使ですもの。飛べて当然なの」
ふふふっ、と口に手をあてながら笑うベルちゃん(仮名)。
顔に似合わず、結構スパルタですな。
「落ちないように、私が手を握っててあげる。そうね、そっちの男の子は、私が最初に居た場所に、仲間が居るから。その人を呼んできて?」
どうやら、マンツーマンで教えるタイプらしい。
そういえば、天使は処女だと魔法力が上がるんだっけ?
だからか。
男には男の天使教官が用意されてるんだね。
「さ、初めましょう?」
「あ、はい。よろしくお願いします」