第16章 審神者の帰還
短刀ちゃんは、皆弟に構ってほしくてうずうずしてる。
五虎ちゃんは、相変わらず僕の膝の上に座ってるけど。
そうそう、実は弟の肩の上には「こんのすけ」っていう政府の飼い狐が鎮座してる。
油揚げが大好きらしく、お稲荷さんをせっせを食べてる。
そんなこんのすけを興味津々に眺めるのが鳴狐。
それに嫉妬してる、お供の狐。
なんともまぁ、異様な光景だよね。
「はー、食った食った。久々の休暇だし、旅行行きたいなぁ」
「散々外国に行ってた癖に」
「あれは、仕事。観光旅行なんて一つもできないよ。俺、青の洞窟行きたい」
「この長谷部が、すぐにお連れします!!」
無理だよ、無理だよ長谷部!!
君が走ってたどりつける距離じゃないって!!
「そ? なら今からでも行けるように準備するかー。あ、姉ちゃん。博士に飛行機用意させて」
「う、うん……」
が、しかし。
「姉ちゃん、ごめん。明日仕事入った」
博士に電話をかけてる最中に、そう言われてた。
博士は「やっぱり」みたいなことを言ってたよ。
「あーあ、青の洞窟で泳ぎたかったなぁ」
どうやら、今日一日プールで過ごすことになりそうだ。