白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
とにかけ紫原を止めることを最優先に、誠凛は三人でマークにつく。だがそれもお構いなしに、圧倒的な力で三人を押し込む。まるで歯が立たず、押し込まれ続ける。
そこにパスが回ると、受け取った紫原はターンもせずそのまま跳びながら体を反転させ、その勢いでゴールへとダンクシュートを決めた。回転と体格の凄まじい力に、三人は軽々と外に投げ出されてしまった。
紫原『あーごめーん、そんな簡単に散るとは思わなかったよ』
『まだよ!速攻!!』
跳ばされ三人だったが、直ぐに建て直し走っていく。だが、その後ろからその足の長さと速さで追い付かれてしまう。
たまらず木吉にパスが回る、トリプルチームを解かれた木吉は紫原と一対一の勝負に出た。ブロックに跳ぶ紫原を回避しようと後出しの権利によるパスを...と腕を下げた瞬間、紫原の長く伸びた左手がそれを防いだ。
陽泉の反撃で紫原のダンクを止めようと火神が奮闘するも、怪物じみた彼の威力は押さえることが出来ず、ボールもろとも強く叩きつけられてしまった。
その時、ピシッと音と共が響く。紫原がリングから手を離した瞬間、今までかけた負荷のせいかゴールが音をたてゆっくりと傾いていく。
紫原『そもそもバスケなんて欠陥競技じゃん、ゴールは三メートルの宙にある。その時点で公平なんて言葉はないんだよ。結局でかいやつが勝つように出来てる。それがこのクソスポーツの根本だろ...こんなもんの何が楽しいの?小物がどんなに技術を磨こうが圧倒的破壊力に勝てるもんなんてない、どんな理想も俺にとっちゃあ唯のゴミだ』
ゴシャアッ!!!と会場に轟音が鳴り響き、ゴールは無惨に地に落とされた。
観客はこのありえない現象に戸惑いが隠せず、ザワザワと辺りを騒がしくさせる。
ピンッ....!
そのゴール側の誠凛ベンチで見ていた零蘭も動揺を隠せないでいたが、突如コートから何かが跳んでくるのを見逃さなかった。
『...光っ!』
立花『え..?きゃっ....!』
それは鈍く光を放ちながら立花へと向かってきていて、咄嗟に零蘭は立花の肩を抱き寄せ、空いた手でそれを掴んだ。
立花『お姉様?それは...』
『恐らく、あのゴール部品。良かった貴女に当たらなくて』
立花『あ、ありがとうございますお姉様...』