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【黒バス】今夜もアイシテル

第40章 ストーリー



熱戦の幕をおろした秋田から東京まで、新幹線で約四時間。

平均をはるかに超えるガタイの高校生がひしめく車両は、だが思いのほか静かだった。





「あ、お母さん?うん。今、新幹線の中。うん、そう……帰りは夜になると思うんだけど、あのね、今日……」

デッキで携帯を耳に当てる結の瞼は、まだ少し腫れていたが、その表情には一ミリの迷いもなかった。

四角く切り取られた窓の中を、高速で走り抜ける景色を目の端で追いながら、手の中の携帯を少しだけ強く握りしめる。

「今日は……今日だけは、黄瀬さんのそばにいたいの。今から彼のお母さんに連絡してみるつもりだけど、もし許してもらえたら……今夜は彼のそばにいても、いい?」

しばしの沈黙のあと、雑音に紛れて耳に届く母親の言葉に、視界に映る景色がじわりと滲んでいく。

溢れる涙がこぼれないように、結は意味もなく天井を見上げた。





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