第60章 夢は
その後は仕事が忙しくなり
私たちは話せなくなったが
私は仕事をしながら
自分の夢の事を考えていた
もし、叶うなら・・・・
私は彼を思っていた
ずっと彼の傍にいれる
女でありたいと
それが私の夢になっていた
仕事が終わり
彼女と久しぶりに一緒に帰っていた
「夢って素敵だね・・・」
私は彼女にボソッと言った
すると彼女は私に微笑むと
「その為に大変ですけどね・・・」
彼女はクスクスと笑っていた
「・・・そっか」
私は何故か納得していたのだ
「叶ったらいいですけど
無駄になる時もありますしね」
私は、やっと分かった
彼女は、夢のために頑張っているが
ちゃんと前を向いて受け入れているんだと
だから、彼女は強いのだと
「・・・でも経験した事は
無駄にはならないよね」
私は彼女を見て言うと
「そうですね、そう考えると
無駄はないのかもしれませんね」
彼女は素直に私の言葉を
受け入れてくれた
私は考えていた
私が歩いて来た道も
少しの無駄はなかったのだ
涙を流した事も
悩んだ事も
全ては今に繋がっているから
私はそう思いながら
空を見つめていたのだった
空に輝く星を見て
彼を思っていた
今、彼は何を感じて
何を思っているのだろうと
早く会って
その事を話したいと
初めて強く彼を求めていたのだった