第60章 夢は
私は、彼に会った時に
ちゃんと話そうと思った
手紙の事も・・・
何が大切かが分かった事も
しかし
彼はまた仕事が忙しくなったのか
来てくれない日々が続いていた
そして店の方のシンデレラの噂より
私の彼氏は誰なんだに
興味があるらしく
不細工な男だろとか
オタク系かもとか
色々と言われていた
この人たちが本当の事を知った
本当にどんな顔をするのだろうと
思って笑いそうな自分を
私は堪えていたのでした
そんな私の唯一の味方の彼女も
店を休んでいて
私は以前のように一人寂しく仕事と
家を往復する毎日を
過ごしていたのでした
本当に一人になると
今までの自分がどんなに
恵まれていたかを知る
夢のような彼氏
私の事を思ってくれる親友
私は他の人から考えたら
夢のような幸せを手に入れていたのだ
その事を実感していた
そんな、ある日の事でした
私がいつものように仕事場に来ると
彼女が仕事に入っていた
私は嬉しくなって彼女に声をかけた
「ひさしぶりだね」
彼女は私を見ると嬉しそうに
「長い事休んでしまって
すいません・・・」
私はゆっくりと首を振った
「ちょっと、自分のバンドで
地方に行ってたんです」
私はその言葉に驚いて
「そうだったんだ・・・」
「夢に向かって進みたくって・・・」
その言葉に私の胸は熱くなっていた
「夢か・・・・」
私は、呟いていた
その私を見て彼女は微笑んでいた