第56章 縛られた過去
私は次の日に
亡くなった彼のお墓に来ていた
もう何も言ってくれない
彼のもとに・・・・
「・・・・ごめんなさい」
私は彼のお墓に謝った
左の薬指には
大倉さんから貰った指輪が光っていた
その指輪を見て
彼を忘れていった自分を
思い返していた・・・・
前にここで、彼のお姉さんは
私に幸せになってと言った
本当にそれで良かったのだろうか?
今になって
分からなくなっていた
私は
大倉さんを愛している
彼と未来を歩きたい
幸せになりたい
でも・・・・
私は亡くなった彼の未来を潰した
そんな私が幸せになっていいのだろうか?
亡くなった彼の気持ちを
今になって知り
私の心が大きく揺れ動いていたのだ
ここに居ても答えはでない
そんな事は分かっていた
私が帰ろうと振り向くと
私の親友だった友達が立っていたのだ
私は驚いて立ち尽くしていると
彼女は顔色も変えずにゆっくりと
彼のお墓に近づいて来た
そして、無言でお花に持っていた
花束を供えると手を合わせていた
私は、動けずにその場で彼女を見ていた
彼女は祈り終わると
静かに立ち上がり私の方を見たのだ