第53章 サプライズ
彼は自分の部屋に着くまで
何も話さなかった
エレベーターの中でも
廊下を歩いている時も
ただ優しく手を握ってくれていた
普段なら、最近はどうだとか
くだらない事を聞いてくるのに
もしかしたら・・・・
店の子がどっかの週刊誌に
私の事を言ったのでは
でも、そうすると
私を部屋に連れて来るのは
おかしい・・・・
噂になっている事が
事務所にバレて
今度こそ付き合えなくなって
別れ話をするために・・・・
私は、いろんな事を考えていた
私自身も怖くて
彼には何も聞けずに
部屋まで来ていたのだった
彼は静かに部屋の鍵を開けると
大倉「どうぞ・・・・」
扉を開き私を招き入れた
そしてリビングへと歩いて行った
私も彼の後ろを無言で歩く
私がリビングに
足を踏み入れようとした時
「あのぁ、大倉さん・・・」
私は勇気をだしてみた
どうして呼び出したか聞いてみようと
思ったのだ
大倉「うん?」
彼は優しく私を見る
「今日はどうしてんですか?」
しっかりと彼を見て言えた
すると、小さく笑いながら
大倉「とにかく中に入ってや」
そう言うとリビングに入って行ったのだ
私は、彼の後を追うように
ため息をつきながら
入って行くと
突然の大きな音が
私の耳に鳴り響いた
私は驚き腰を抜かしそうになった
そして、何が起こったのかと見ると
彼の部屋が綺麗に飾り付けされていて
私の前に安田さんと丸山さんが立っていた
良く見ると
彼らの手にクラッカーが握られていた
「えっ?」
私が驚いていると彼が嬉しそうに
大倉「お誕生日おめでとう」
私にはまだ理解出来ていなかった
キョトンとみんなを見ている私に
大倉「おい、今日は誕生日やろ?」
「えっ?」
私は考えながら、みんなを見ていた
そうだ、今日は自分の誕生日だったのだ
自分でも
すっかり忘れていたのだった