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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「南ー、荷物はここでいいんさ?」

「うん。そこにまとめて置いてくれたらいいよ。二人共ありがとう」

「いいえ。それじゃあお花は…」

「それなら私が花瓶に活けておくわ。アレンくん、貸してくれる?」

「ありがとうございます、ミランダさん」

「南さん、はいこれ。ケースに薬の配分済ませておいたから」

「こんなことまで…ごめんね、リナリー」

「いいわよ。手伝いに来たんだから、何かやらなきゃね」



退院祝いと共について来てくれたエクソシスト達のおかげで、あっという間に荷物は片付いた。
さくさくと手伝い動くリナリー達に対し、神田だけは部屋の壁に背を預けて身動きしないまま。



「こら。神田も此処にいるなら何か手伝いなさいよ」

「…あ?」



そこに目を止めたリナリーが、カツンとヒールの靴を止めてピシッと神田を指差す。
不快な顔で目を向けるものの、そこは幼馴染の関係性の賜物か。
神田はリナリーに食って掛かることなく、面倒臭そうに辺りをぐるりと見渡した。



「…オイ」

「ん?」



ふと目を止めたのは、クローゼットの隣の壁に掛けてある上着の数々。
見慣れた一つを片手に、神田はずいっとそれを南へと差し出した。



「ほらよ」

「あ。ありがとう」



神田が差し出したのは、南が常日頃身に付けているもの。
普段のくたくたな生地ではなく、アイロンがかけられてぴしりと白さを主張している科学班の白衣。

神田の行為に笑顔で礼を言い、白衣を受け取る。
当たり前にそれに袖を通す南に、不思議そうに手伝いの手を止めたのは神田以外全員。



「なんで白衣着てるんさ?」

「まだ早過ぎじゃない?」

「そうですよ。仕事復帰は明日からですよね?」



首を傾げながら問いかけてくるラビ達に、手首に嵌めていた飾り気のないゴムで手早く髪を一つにまとめる。
その仕草の途中で、南はああと視線を向けてくる彼らに目を止めた。



「仕事復帰は今日からだよ。午後から顔を出すって、リーバー班長に伝えてあるから」



当たり前にさらりと告げられた言葉に、しんと静まり返る室内。



「「「「えぇえええ!?!!!」」」」



一斉に上がったのは仰天の叫びだった。

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