• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「砂糖とミルクは?」

「大丈夫です。ストレートのままで───」



背中を向けたまま尋ねてくるリーバーに、手間を取らせまいと受け答えしていた時。
製図台の周りに高く積み上がっていた書類の上で、何かがカサリと蠢いた。



(ん?)



物珍しげに見渡していた南の目はしかとそれを捉えていたらしく、迷わず動きを止める。
何か黒いものが動いたような、そんな気配。



「…?」



じっと目を凝らしていると、書類の上でカサコソと動く影。
細かな動きに嫌な予感が一瞬脳裏を掠める。
まさか、汚い科学班の職場でも時々出没していた、G的なものではなかろうか。



(ま…まさか、)



そんなものが高い書類の上から滑空なんてしようものなら、悲鳴を上げるどころではない。
トラウマにさえなりそうだと、南は思わずソファから腰を上げていた。
覚束無い足取りで、数歩後ろに下がる。

と、その時。
書類の上にいた黒い影が、素早い動きで飛び出した。



「っ!?きゃ───…あ?」



思わず悲鳴が上がる。

が。



「…は?」



飛び出してきた黒い影は一直線に滑空してくるのではなく、宙をふよふよと浮いていた。
ぱたぱたとどこか聞き慣れた羽音が鳴る。



「……ゴーレム?」



書類の上でぱたぱたと宙を飛んでいたのは、一匹の黒い蝙蝠型通信ゴーレムだった。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp