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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「アレン達への話、もう終わったんスか?」

「ああ」

「でもなんでそんなに急いで…」

「その……南に、話したいことがあって、な」

「私に?…リナリーのイノセンスのことで、ですか?」

「いや。仕事の話は二人が退院してからする。…ジョニー、南を少し借りてもいいか?」

「ああハイ、勿論いいっスよ。でもあんまり時間取ったらまた婦長に怒られるんで、程々にして下さいね」

「ああ」

「じゃあオレ、先に戻るから」

「え?あ、ちょっと待っ」

「またね南」

「ジョニー…っ」



あっという間に終わる会話。
キコキコと車椅子の車輪を回しながら、あっさりと背中を向けてしまったジョニーに南は慌てて手を伸ばした。
しかし、ここで彼を引き止める理由は何もない。

否。



(急に班長と二人きりって!心の準備が…!)



南自身には明確な理由があったのだが、そんな理由口に出せるはずもない。
そしてあっという間に取り残されてしまった。
上司であるリーバーと共に。



「……行っちゃった…」

「…あー……悪い。急に引き止めて…」

「ぃ、いえっ!班長は悪くありませんからっ」



思わず呟いた南の本音に、罰が悪そうにリーバーが反応を示す。
慌てて見上げて首を横に振れば、少し不安そうな彼の表情が見えた。



「そんなに声出して大丈夫なのか?…腹部の怪我に響いたり、だとか…」

「はい、まぁ…大丈夫です。薬もありますし…」

「薬?」

「痛み止めです。処方されてるので」

「…それは"大丈夫"とは言わないぞ」

「ぁ…す、すみません」



初めて聞いた、南の体の詳しい状況。
つい過敏になって眉を潜めれば、慌てて小さな頭部が下げられた。
そんな南を前に、しまったとリーバーは口を噤む。



(何言ってんだ俺は)



咎めたかった訳ではないのに。
寧ろ彼女の体が心配で、慎重に気遣うつもりだったのに。

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