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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



✣ ✣ ✣ ✣



「リナリーのイノセンス、問題でも起きたのかなぁ」

「そんな空気には見えなかったけど…多分、大丈夫だよ」

「だといいけど…」



心配そうに呟くジョニーを軽く励ましながら、車椅子の隣をついて歩く南。
広い教団の廊下、人は疎ら。
医療病棟まではまだ距離がある中、ゆっくりと二人は歩いていた。



「職場復帰したら、真っ先にリナリーの新しいイノセンス見せて貰わないとっ」

「ふふ。そういえばリナリーの"黒い靴"担当はジョニーだったもんね」



拳を握って意気込むジョニーに、つい南も笑みを零す。
彼女の担当が六幻であるように、ジョニーにもイノセンスの担当をリーバーから任されてある。
それがリナリー・リーのイノセンスである"黒い靴"。
イノセンスを預けてもらうということは、科学班である彼らからすれば一人前だと認めてもらうようなもの。
やる気が出るのも自然なことなのだろう。



「南…っ!」



そこにバタバタと駆けてくる足音と呼び声が、急に耳に飛び込んできた。
何かと二人は同時に音のした方へと振り返る。



(え?)



ずっと走ってきていたのか。
多少息を切らしながら駆けてくる白衣姿に、南は思わず目を丸くした。



「あれっ?リーバー班長、どうしたんスか?そんな急いで…」

「あ、ああ…いや。ちょっと、な」



そこにいたのは、司令室で別れたはずのリーバーだった。
二人の元まで駆けてきた足を止めて、はぁと大きく息をつく。
分厚い書類を手にした姿は、司令室で最後に見た時と変わらない姿。



(なんで此処に班長が……というか私、今呼ばれた?)



聞き間違いではなかったはず。
そう悟ると同時に、自然と心拍数が上がるのを南自身感じ取っていた。

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