第80章 再生の道へ
そしてそのふざけたダンボ耳と化しているのは、アレン達ティーンズ組だけではなく。
「マリさん…その耳…」
「できれば触れないでくれ、ミランダ」
「わしゃ老人じゃぞ…手加減もなしか」
「ジジイは殺しても死なないさー」
「黙れ若造が!」
「イデッ!」
マリとブックマンもまた同様に、強制的に引っ張られ腫れた巨大なダンボ耳と化していた。
恐る恐る見上げるミランダの視線から逃れるように、くっと顔を逸らすマリ。
いけしゃあしゃあと呟く弟子の頭に、飛び蹴りを繰り出しているのはブックマン。
そんな二人も片耳ダんボ。
色々とバランスがおかしい。
人として。
何故呼び出したエクソシスト(チャオジー、ミランダ、リナリーと元帥を除く)の彼らがこんな有り様になっているかというと、理由はただ一つ。
外出許可も出ていないのに無断で病棟を抜け出した罪で、婦長の怒りの制裁を受けたからだ。
どれ程の力で引っ張ればあそこまで赤く腫れ上がるのだろう。
見ているだけで痛々しい。
しかし片耳ダンボだけで済んだのは良い方だろう、あの婦長相手に。
殺されなかっただけ救いだ。
「全く。本当に君らは自分の体を軽く見過ぎなんだからー」
呆れ混じりに肩を落としながら、コムイの目がアレン達から大きくずれる。
司令室の壁際に立つ、二人の人物に。
「そして君らもね」
「…すみません」
「あはは…はい。ごめんなさい」
ジト目で見れば、一人はシュンと頭を下げ、もう一人は苦笑の後に頭を下げた。
同じ科学班であり、コムイの部下である南とジョニー。
二人の耳も婦長の制裁を受けたのか、立派なダンボ耳。
老若男女、婦長の怒りは誰にでも平等に向けられるらしい。
少しの容赦もなく。