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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



✣ ✣ ✣ ✣



「───リナリーのイノセンスが?」

「うん。リナリーは寄生型ではないことがわかったんだ」



司令室。
元帥を含めた全てのエクソシストをその場に呼び出したコムイが、彼らを前にして最初に口にしたのは自身の妹の名前だった。
驚きの声で聞き返すアレンに、静かに息をついて頷く。
アレン達エクソシストを呼んだ理由は、リナリーのイノセンスに起きた見たことのない症例。
その説明と結果論を伝える為。



「…でもその前に、」



事は重大だった。
スゥ、とコムイの眼鏡の奥の細い切れ目が、更に鋭く細められる。

そして。



「ちょっとそこ耳隠してくれるかな?真面目な話だから」



口から出たのは呆れ声。



「僕ら真面目に聞いてます」

「これは不可抗力さ」

「…チッ」



真面目な話をするつもりだった。
今までにない現象が、リナリーのイノセンスに起きたのだ。
良いものなのか悪いものなのか、それもまだよくわかっていない。
そしてそれは同じエクソシストであるアレン達にだって、起こり得る現象かもしれない。

しかしどうにもその姿が気になって、突っ込まずにはいられなかった。



「面白いんだよ、画的に。説明に集中できないから」

「僕らは真面目です」

「だから不可抗力だって」

「チッ!」



びし、とコムイが指差した先。
其処に立ち並んでいるのはアレン、ラビ、神田の三人。
その右耳はまるで某有名ネズミキャラクターの仲間、空飛ぶゾウのダンボのように、赤く巨大に腫れ上がっていた。

どう見ても人としてバランスがおかしい。
これを突っ込まずしてどうする。

そんなコムイに、至極真面目な顔で返すアレンとラビ。
ただ一人神田だけは、苛々と全身から負のオーラを撒き散らしながら、それでも辛うじて怒りを抑え込んでいるようだった。
しかしそれも爆発寸前らしく、舌打ちは司令室の外にまで響きそうな勢いだ。

巨大な耳を引っ下げて。

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