• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



いつの間に稽古を終わらせていたのか。
思いっきり投球した格好で立つ神田を見る限り、どうやら今の竹刀の一撃は彼が放ったものらしい。
まるで砲丸投げ並みの威力だ、と思わず南はごくりと唾を嚥下した。



「ラ…ラビ、大丈夫…っ」

「大丈夫だろ。それくらい」



倒れたままのラビを心配すれば、答えはラビではなく神田の口から返された。



「南さんの方こそ、大丈夫ですか?変な所触られたりしませんでしたか」

「いや…というか二人共、稽古終わったの?」

「はい。ジョニーに呼ばれて。採寸するんでしょ?」

「ならさっさとやれ」

「あ…うん。ええと…というか顔…大丈夫?」



(なんか人相変わってるけど)



余程散々殴り合ったのだろう。
あちこち青痰や痣を作り、不規則にぼこぼこと腫れ上がっているアレンと神田の顔。
元々顔立ちは良い二人だが、今では見るも無残なものとなっている。
本人達はケロッとしているようだったが。



「南…オレも怪我してんだけど…一応…」

「あっごめん!ラビも大丈」

「だから大丈夫だっつってんだろ。オラ自分で立て」

「あでッ!」

「大袈裟なんですよ、エクソシストでしょ。このくらいの傷なんですか」

「イデデデ!痛いってアレン!傷口広げるようなことヤメテ!」



押さえた額からダラダラと血を流し体を起こすラビに、慌てて傍に寄ればまたもや神田に止められる。
転がっている竹刀を拾い上げたかと思えば、ベシン!と容赦なくラビの頭を叩いて。
立て続けにアレンがその額をグリグリと拳で小突くものだから、ラビは切実な悲鳴を上げた。

なんでここまで理不尽な暴力を受けなければならないのか。
そこまでのことを自分はしただろうか。
南だって"落ち着く"と自分の抱擁を受け入れてくれていたのに。
何故無関係の二人にここまで痛め付けられなければならないのか。

全く持って、理不尽なことだらけである。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp