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科学班の恋【D.Gray-man】

第74章 本部襲撃



嫌な予感を抱えたまま、一心不乱に走って辿り着いた先。
AKUMAの卵が置かれた大きな研究室。



「研究室の入口が塞がってる…!」



本来なら、大きく開放された出入口が其処にはある。
だけど其処は真っ黒な謎の壁で、全て隙間なく塞がれていた。

嘘だろ、オイ。
どうやって内部に入り込んだのか。
いや、今はそれより問題視すべきは別のこと。

───この中に大量のAKUMAがいる。



「っこの…ッ!」



咄嗟に置かれていた立入禁止と書かれた看板で、黒い壁を殴り付ける。
バキッ!と嫌な音を立てて曲がったのは看板の方だった。
くそッなんさこの壁…!?



「ビクともしねぇ…!」

「退いてラビ!」

「下がっとれ」



声を上げて前に出たのは、イノセンスを発動させたアレンとブックマンのジジイだった。



「"破壊ノ爪(エッジエンド)"!!」

「"天針(ヘヴンコンパス)"!」



ガガガッ!



イノセンスを使っての攻撃。



「どうだ…ッ!?」

「駄目だ、傷一つ付いてねぇ…!」



それでもこの謎の黒い壁は掠り傷一つ付かなかった。
なんさこれ…ダークマターで出来た壁なら、イノセンスが効かないはずはない。
AKUMAが作り出したもんじゃねぇんさ…!?



「中の音が全く聞こえない…!奴らの狙いは生成工場の卵か…!」



黒い壁に耳を付けて、ホクロ二つの監査官が叫ぶ。
内部の状況は此処からじゃ掴めない。






───ドクン…ッ






心臓が嫌な音を立てる。



「…ッ」



握りしめた、曲がった看板には"科学班以外立入禁止"の文字。
それはこの壁の向こう側に、科学班の人間しかいないことを明白に表していた。






───ドクンッ






「リーバーさんが…っ南さん達が、この中にいるんだ…ッ!」



アレンのその声に全身に冷や汗が浮かんだ。
そうだ。
この中には科学班である南達がいる。
普通の人間である、南達がいる。

南達、普通の人間"しか"いない。

そんな所に、大量のAKUMAを放出して密閉したらどうなるか。
結果なんて考えなくても目に見えていた。

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