第74章 本部襲撃
「僕は今日は、空いた時間はずっと修練場で鍛錬してました。退院したばかりだし、体が鈍ってるといけないと思って」
「わー…ユウといいホント、トレーニング好きさね」
朝っぱらからよく筋トレとかもしてるもんな、二人共。
ストイックさ半端ねぇさ。
「あんなパッツン馬鹿と一緒にしないで下さい。大体───」
ユウとは犬猿の仲だから、一緒にすればアレンは忽ち嫌そうな顔をした。
だけど続けようとしたその先の言葉は、不意に呑み込まれた。
───ィイイインッ
突如その左眼に浮かび上がったスコープに邪魔されて。
「──!?」
まるで耳鳴りのような音を上げて、発動した左眼のスコープが強く主張してくる。
その呪われた左眼はAKUMAの存在を探知できる、アレンだけが持つ特異なもの。
ってことは───
「AKUMAだ…ッ!!」
そう叫んだかと思えば、脇目も振らずにアレンは食堂を飛び出した。
AKUMAって…此処教団内だけど…!?
「AKUMAって何処だよ!?」
慌てて後を追いかけながら問う。
教団は外部から守られてるから、そう簡単に内部にAKUMAが出現するはずはない。
ってか、やべぇ。
オレの鉄槌まだ修理中なんだけど…!
「場所は…ッAKUMAの卵が置かれてた研究室…ッあそこから凄い数の反応がある!!」
AKUMAの卵って───え。
ちょっと待て。
其処って。
"此処から先は科学班以外立入禁止だ。入ってくるなよ?"
思い出したのは、三日前にリーバーが南をその広間に押し込んで笑っていた姿だった。
其処って…南達科学班が仕事してた場所じゃねぇか…!
「まじ、かよ」
ドクリと、心臓が嫌な音を立てた。