第82章 誰が為に鐘は鳴る
そんな南にフムと顎に手を当てたコムイは、キランと眼鏡を光らせた。
毎度周りが厄介だと思う案が湧き出た時の顔だ。
しかしそれに南は気付いていない。
「可愛い新人くんに直接仕事の手解きをしていたと言えば、言い訳つくかな」
「え?」
「ということで南くん、どうだい僕と」
「はい?」
がしりと両手を握られる。
急に何かとぽかんと見上げる南に、コムイは満面の笑みで告げた。
「なに、仕事の延長線上とでも思えばいいよ。ということで行こう!」
「わっ!?え!?はい!?」
訳も分からず手を掴まれたまま、ずるずると引き摺られていく。
「何事ですか!?私、明日も仕事が…っ」
「ちょっとだけ僕のお茶に付き合ってくれればいいから。君の愚痴を沢山聞いてあげよう!」
「そ、そんなのいいですって!ちょっ止まっ…室長!?」
南の抗いも虚しく。
この場で一番偉い最高司令官から逃れることはできなかった。