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科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「大丈夫っ!?ジョニー!」

「なんだ、どうしたっ?」

「安心しろ、ジョニーだ」

「ああ…また貧血か」

「体弱いもんなァ」



必死に介抱しようとしているのは南だけで、周りは当事者がジョニーだと知れば途端にやれやれと肩を下げる。
肥満体型のタップとは正反対に貧相体型のジョニーはリーバーの予想通り体力が足りず、何かと職場の過酷さに当てられては貧血で倒れることが日課となっていた。



「だ、だいじょぶ…だから…みなみ…」

「でも…っとにかく仮眠室に運ぶから。立てる?」

「う、うん。ごめ、ん」



女の体でどうにかジョニーの体を支え運ぼうとする南に、しかしよろよろと不安定に揺れる様は心許ない。
その光景を見ていたリーバーは、ガリガリと後頭部を掻くと徐に席を立った。
向かうはジョニーと南の下。



「おいジョニー」

「へ?あ、は、んちょ…っ」

「お前今月倒れたの何回目だ」

「え、えっと……5、回?」

「うわ…そんなに体弱ぇのか…」



ジジも驚く程の卒倒振り。
ここまで体力の無い科学班は見たことがない。

二人の前に仁王立ちしたリーバーは、額に片手を当てると深い溜息を零した。



「あのなぁ…前に言ったよな?自分の限界を見極めて働けって。特にお前は体力ねぇんだから。倒れる度に仕事が止まるんだよ、迷惑だ」

「す、すみませ…」

「っ…班長、あの。ジョニーは欠勤中のタップの分まで仕事を」

「お前は黙ってろ。今俺が話してるのはジョニーだ」



リーバーの厳しい言葉に堪らず南が口を挟めば、皆まで言わせずぴしゃりと跳ね返された。
低く冷たいリーバーの声は嵐の前の静けさのよう。
その雷が自分に落ちるのを回避する為か、周りも息を呑んで声を殺している。



「言ったよな。倒れるなら仕事終えてから倒れろって。今お前が取り零した薬品は全部無駄になるんだぞ」

「すっすぐに片付けますんで…!」

「いい、それは他の奴にやってもらう。お前は医務室に行ってこい」

「でも…ッ」

「仕事したいならできるだけの状況引っ下げてから言いに来い!体力のない奴は今すぐ辞めろ!」

「ッ」



ビリビリと響くリーバーの怒号に、ジョニーと南の体が竦む。
言い返す余地はどこにもなかった。

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