• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「リ…バ、…」

『いいんだ…お前が気負うことじゃない…いいんだ、』




何度も言い聞かせるように、それはまるで自分に言い聞かせるように、ゴーレムの向こうから届く愛しい人の声

そんなリーバーの声が、段々と遠くなる
あれ…視界もぼやけてきた

パタパタと傍で羽ばたく音がするから、ゴーレムは近くにいるんだろうけど、首を擡げて確認するだけの力は残っていない
微動だにできない倒れたままの私の視界に映るのは、ぼやけた真っ青な空



…綺麗だな




「リ…バ……大好、き……世界で…一番、あい…してる」




あいしてる、なんて
誰に聞かれてるかもわからない通信機で、こんなこと絶対言わないと思ってたのに
変だなぁ、今ではすらすら出てくるんだから




『っ…!今、そっちに向かってるんだ!もうすぐ着く!それまで気をしっかり保て!!』




ああ、こっちに来てくれてるんだ…だからゴーレムも通じたんだね
神様の計らいじゃなかったみたい




「此処、の…空、ね……凄く、綺麗…」

『おい…!』

「リーバ…と、一緒に…見たかった、な…」




笑おうとすれば咽て、目の奥が熱くなって一気にぼやけた
頬を熱い涙が伝う




『そんなこと言うな…!死ぬな!!』




"死ぬ"

リーバーのその言葉で、再確認
ああ、やっぱり私は死ぬんだなぁって




『お願いだから…ッ!死ぬな…!!』




ゴーレムの向こうから聞こえる悲痛な叫び声
ああ、きっとリーバーは泣いてる

その涙を拭ってあげたいのに、声がもう出ない
体も動かない

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp