• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「なーんかさー…その音聞くと寒気するって言うか…嫌な感じがするって言うか」

「そりゃあお前が心霊系苦手だからだろ…」

「うっせ!確かにそうかもしんねーけど、南だって怖がってたかんな!」



呆れ顔のリーバーに、むっとラビの顔が膨れっ面になる。
苦手なことは認めているが、それで馬鹿にされるのは不服だ。
誰しも苦手なものはある、致し方ないことだろう。



「ずーっとその音が付き纏ってくるって」

「そうなのか?」

「そーさ。オレはわかんなかったけど、南の耳はウサ耳化してたし。人じゃ拾えない音も聴いてたんだろ」

「………」



そう言ってラビが指差す亡霊に、しかし彼女の唇は固く結ばれていた。
強く結んで、への字に曲げる。
納得のいかない顔のようだ。



「オレと合流する前から聞いてたって言ってたし。案外ずっと近くにいたんじゃね?」

「…いづだ」

「いつって。だから、南以外の団員全員ゾンビ化した時から」

「わだじは、その時がらずっとリーバーの体に取り憑いでいだ」

「? だからなんさ」

「ずっと体内に潜り込んでいだんだ。リーバーの体から顔を出したのは、お前達が二人揃っている所を見つけたあの時だ」

「あー…つまり?」



少女の言葉は核心が掴めない。
結論を促すリーバーに、少女はぐぷりと濁った音を漏らした。
排水溝を詰まらせたような、しかし聞いたことのないような寒気がする音を。



「その女が聞いていだ音は、私の声じゃない」

「…へ?」

「…は?」



思いもかけない亡霊の言葉に、二人して言葉が詰まる。

と、いうことはつまり。










「別の誰がの声だ」

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp