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科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「っげほッゲホ…!…な、んだ…っ?」



気道が開かれ、咳き込みながら後退るリーバーの目に映ったもの。
それは金色に輝く眩い光沢。



「お、前…ティム…!?」

「ガァッ」



ティムキャンピー。
南が教団を彷徨う中、出会したと言っていたクロス・マリアンのゴーレムだった。



「無事だったのか…!」



南の話では、敵を誘き寄せる為に自ら囮になったと聞いていた。
その後の消息は不明。
小さなゴーレム一匹だけでは、再びゾンビ化してしまったかと思っていたが、無事でいたらしい。
その証拠に、猛烈なスピードで飛んできたティムキャンピーが体当たりをしたのは、リーバーではなくアレンに向けて。
頬に強烈な一打を喰らい、白髪の少年はふらりと足元を揺らしていた。



「はは、は…そんな形(なり)してよく…凄いな、お前」

「ガァア♪」



笑っているのだろうか。
尻尾を揺らし鳴くティムキャンピーの丸いボディには、二つのくるんと巻かれたブロンドのツインテール。
引っ越しの最中に強力育毛剤をアレンと共に被ってしまった名残りあるゴーレムに、リーバーはつい口元を緩ませた。



「そうだ!ティム、協力してくれないかっ?」



それも束の間。
本来の目的を思い出すと、目の前の飛行能力のあるゴーレムが心強い味方に見えた。



「あの天井に飛ばされてる矢を取ってきて欲しいんだ。あそこに付着しているクロウリーの血が手に入ればワクチンが作れる!」



天井を舞う矢を指差すリーバーに、ティムキャンピーは犬よりも従順だった。
こくりと頷くと、強風の中を物基せず飛んでいく。
なんと頼もしい背中だろうか。



「───ム…」

「?」



そこへ濁った音で、しかし唸り声とは別のものをリーバーは耳にした。
振り返る。
其処にいたのは、ふらつきながらもティムキャンピーへと手を伸ばすアレンの姿。



「…ディ…ム…」

「! お前…今…」



ソカロ達元帥程とまではいかずとも、確かに。
その口から零れたのは、相棒の名を呼ぶ確かな"言葉"だった。

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