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科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る












「───よし。準備はできたか?」

「…あんまし休めた気がしねぇさ…」

「…隣に同じく…」

「はは。時間は限られてたからな」



クロスボウの調子を見ながら振り返ったリーバーの視界に、どんよりと肩と頭を落とすラビと南が映る。
一睡もしていないリーバーこそ吐き出したい台詞だったが、そこはこの場で年長者。
弱音は吐くことなく、苦笑混じりに二人を労った。

きっかり1時間。
僅かな休息を取った後、三人は行動を起こした。

作戦決行の声を上げたのはラビ。
作戦内容を練ったのはリーバー。
そして、



「やっぱり…納得いかない」



最後まで反対し続けたのは、南だった。



「私も行きます。何かできること、あるかもしれないから」

「それは何度も話し合ったろ。人員は必要最低限でいいさ。オレとはんちょがいれば実行できる」

「俺もラビに賛同だ。南は此処で俺達の帰りを待っててくれ」

「でも…」



不満を残した顔で二人に反する南は、どうにも納得がいかない様子だった。
それもそのはず。
今回の作戦で、南は不要だと二人から除外されたのだ。

エクソシストでも狙撃の名手でもないが、だからと言ってただ黙って二人の帰りを待つなど。
これでは教団でラビ達エクソシストの帰りを待っていた時と変わらないと、南は歯痒さを抱いていた。



「お前の言い分もわかる。でも俺達の我侭も聞いてほしい。…万が一の為にな」

「そんなんさせねーけど、もし失敗したら次の手が必要さ。南にはそんだけの力があるって、見込んでのことだかんな」



リーバーの手が南の肩に乗る。
ただ南を危険から遠ざけたい訳ではない。
同じ仲間として力になってほしいからこその二人の託す思いに、南は言葉を呑み込んだ。



(そんなこと言われたら、なんにも言えないよ…)



この作戦内で一番重要な駒は、南だと言われてしまったようなものだ。

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