第82章 誰が為に鐘は鳴る
「んじゃ、オレらもいい加減少しは仮眠しねぇとな…ふあ」
「どうせ俺は眠れやしねぇし、見張りもするから。ラビは少し寝ろ。一番体力を使うのはお前だからな」
「……南に変なことすんなよ?」
「するか」
ジト目で見上げるラビに、リーバーは口元をヒクつかせながら即答で切り捨てた。
お前じゃあるまいし、という言葉は咄嗟に呑み込んで。
やがてうとうとと幼い隻眼が瞼を閉じるのに、時間は然程掛からなかった。
「すー…すぅ…」
「んー…むにゃ…」
「………」
南とラビ。
二人の温もりを腕に抱いて、リーバーは静寂に一人身を置く。
カチコチ
カチコチ
腕時計から漏れる小さな秒針の音。
薄いグレーの瞳を向ければ、指した針は深夜3時15分。
「…踏ん張りどころだな…」
作戦決行まで、残り30分。