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科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る












「ちょっと待つさ、ホントにはんちょも混ざんの?」

「だから何度もそう言ってるだろ」

「で、でも…班長…」

「早くしないと作戦決行時刻になるぞ。いいのか?」



それは願い下げだ。
エクソシストであっても、子供の体力では披露も蓄積している。
ラビの体を休めさせなければ。
それがわかっていたから、南は言葉を濁した。
此処は医療病棟の治療室。
道具は揃っているが、ベッドなどの休める寝具はない。
精々あるのは薄い毛布のみ。



「ほら、」



部屋の隅に腰を落ち着け、広げた毛布に催促してくる。
そんな上司の姿に、南は軽い眩暈を起こしそうになった。
仮眠室で何度も同期や先輩と寝床を共にすることはあっても、リーバーとそんな経験など露にもない。
アジア支部への任務で添い寝したことはあるが、あれは状況が状況だった。



(だ、駄目駄目。変に意識したら…っ)



自然と高まる頬の熱を振り払うかのように、首を振り被る。



「わ、わかりました。ラビ、おいで」

「へ?おぅわっ」



小さな体をひょいと抱き上げて、意を決してリーバーの下へと向かう。
自分一人だけなら躊躇したが、此処にはラビもいる。
それが救いだった。



「お願いします」

「ああうん……いや」

「ちょっと待つさなんだコレ」

「何って、三人で暖取り」



毛布に身を包みリーバーの前に腰を下ろした南が、目の前の体に押し付けたのは抱いていた小さな子供の体。
むぎゅりと、ラビが抱き付く形となったのは広いリーバーの胸板であった。



「子供体温のラビが一番温かいでしょ。ってことで、真ん中ね。良かったね、これでぐっすり寝られ」

「寝られるかァ!何が悲しくてはんちょと引っ付いて寝なきゃなんねーんさッ!」

「それには俺も同感だ」



にこにこと笑顔で名案だと言い切る南に、スパン!と心地良い程威勢の良いラビの制止が木霊する。
頷くリーバーもラビに同意らしい。
二人が求めたのは他ならない南の体温。
何故親子のような形で全くの赤の他人である男の体温に、寄り添わなければならないのか。

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