第82章 誰が為に鐘は鳴る
「ラビ、スキンシップ好きだもんね」
「一般的な交流の仕方さー。オレ、堅苦しいのって苦手だし」
「………(それは堅苦しいんじゃなく、お前がベタベタ触り過ぎるだけだろうが)」
とは表立って言えず、リーバーはぐっと唇を結んだ。
「だから暖取りしよーぜ南。どうせ今の体は子供だし。平気だろ?」
「そういう問題かなぁ…」
「じゃねぇとちゃんと寝れないさ」
「ハイハイ。添い寝してあげますよ」
大人びた一面も持つが、時と場合によって未成年の特性を持ち出してもくる。
それがラビという、誰にでも合わせることができる柔軟な青年だ。
正に見た目通り、子供のような顔でせがむラビに南も仕方ないとリーバーの傍に置いていた腰を上げた。
クロウリーから血を採取する作戦で、ラビもリーバーも外せない重要な役割を持っている。
そんな彼らが少しでも休めるのなら、それくらいの要望は範囲内だ。
「待て」
科学班での仮眠室で、ジョニーやタップとも平気で添い寝をしていた南のこと。
分かり切っていた回答だったが、それでもリーバーは見逃すことができなかった。
「なんさ、はんちょ」
「俺も丁度これの調整が終わった所だ」
出来上がった簡易性のクロスボウを軽く掲げて、リーバーもまた腰を上げる。
「一人より二人の方が暖も取り易いだろ」
「え」
「それって…」
思いも掛けないリーバーの言葉に、ラビと南の目が止まる。
らしくない行動なのは、リーバー自身わかっていた。
それでも見逃せないのだ、仕方ない。
近くの机にクロスボウを置いて、リーバーはぎこちなくも手持ち無沙汰に自身の首を擦った。
「俺も混ぜろ」