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科学班の恋【D.Gray-man】

第82章 誰が為に鐘は鳴る



「───何作ってんさ?それ」



大きな手で器用に組み立てられていく、全く予想の付かない代物。
カチャカチャと鳴る機械音の出所を、ラビは興味津々に見つめていた。
それはリーバー手元。
医務室に置かれていた治療器具や道具で、一体何を作っているのか。



「簡易式のクロスボウだな」

「クロスボウって、クォレルを使うやつさ?」

「ああ。それと同じ類いだ」

「班長って、サバイバル知識もあったんですか…」



これまたラビの隣で感心気味に見つめる南に、リーバーは苦笑を漏らす。



「サバイバルというより、その方面に特化してるだけだ」

「その方面?」

「一応、趣味で射撃やってるからな」

「へぇ…(班長、そんな趣味あったんだ…)」



そういえばと思い出す。
本部襲撃で南が守化縷に襲われかけた時、リーバーが骸骨の脳天を正確に銃弾で撃ち抜いていたことを。



「流石に銃じゃ掠り傷を負わせられても、クロウリーの体に負担が掛かる。体を鍛えてるとは思うが、銃創は慣れてないと発熱を引き起こしたりするからな」

「つーか、サラッと言ってるけど銃で掠り傷なんて負わせられるんさ?結構な腕前が必要じゃね?」

「まぁ、それくらいなら。出来ないこともない」

「マジで」



リーバーの性格上、確実なことでなければこうもはっきりと断言はしない。
となればその腕前は本当なのだろう。
自慢するようなものではなく、淡々と説明するリーバーを南はまじまじと見つめた。



「その点、クロスボウなら殺傷力も落ちるし、血が付着した矢を回収するだけで済む。クロウリーと無駄な接触を行わなくていいだろ」

「成程なぁ」



腕を組み、感心混じりにうんうんと頷くラビ。
その隣で、南は改めてリーバーの実力を実感していた。

どうしてもこの黒の教団と言う組織ではエクソシストが主となり扱われるが、それを支えているのは紛れもなく各班。
その中で科学班のリーダーであるリーバーは、頭脳だけでなく現場での柔軟な発想力と見合う実力を備えていた。
恐らくこの教団で、確実に無くてはならない人物だろう。



「…凄いなぁ」



思わず漏れた南の声は、リーバーの耳に届いていたらしい。
顔を上げたグレーの目と視線が合った。

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